胃が痛い。
今日は知り合いがランチに来てくれた。
3組もだ。それもみんな知り合いの。
以前、私が中央区で働いてた"Taverna La Piazza"の面々。
最初に洗い場で働いる方が来てくれた。
久しぶりにお会いしたので料理を作りながらこの方とは色んな話しをしたなぁ。とか、シェフに怒られ落ち込んでる私に優しく話しかけてくれたなぁ。など思い出が蘇ってきた。
すると何やらホールが騒がしい。冷や汗が出る。それは独特の笑い声だった。しかも聞き慣れた。
ホールを覗いて見ると、私の最初の師匠、元La Piazza 3代目料理長 ノムラさんがいた。
今はススキノの近くで"ノムラーノ アグラ"を開いている。
コックを始めたばかりでミスばっかりしてた私が悪いが、よく怒られた。
普段は気さくで面白く、とても良い方だ。ノムラさんを慕うコックも少なくない。私も誓って大好きである。
しかし、怖い。
オーダーが入った。魚介のピッツァを一枚焼く。ノムラさんの好きなイカを少し多めに入れて。
ノムラさんに作るのはやはり緊張する。
胸がドクドクと鳴るが平然を装い
いつも通りのピッツァを焼き上げた。
と、オーナーのナカイが外へ飛び出した。尋ねると、現La Piazza料理長 ヤスダさんが来た。との事だ。
これまた私のお師匠さんである。
気が休まる事は無い。
ヤスダさんにもかなり怒られてる私。普段は優しく、喋りやすい。とても良い方だ。調理学校の講師も勤めていて、学生の評価はとてもよくファンが多いみたいだ。実際、うちで働いているシズカもお世話になったみたいでファンの1人だと彼女は言う。
誓って私も大好きである。
しかし、怖い。
オーダーが入った。本日の日替りパスタ。"アンチョビとキャベツのペペロンチーノ"
まさにこれはヤスダさんに教わった皿だ。
1人なら未だしも2人の料理長を前にパスタを作るのは
誰かに胃を掴まれてる気分だ。
さっきより胸がバクバクと鳴っていたのが分かったが、これも平然を装いパスタを仕上げた。
私はすぐさま店の裏手にある畑に行き気を落ち着かせた。
緊張をしてるのを皆に見られるわけにはいかない。
畑でいくつかの食材を収穫し、帰りにノムラさんとヤスダさんに渡した。
本当にお2人にはお世話になり、今の私がいるのもお2人のお陰だと心から思っている。
しかし、食材を収穫し、手渡す。
学生時代、歴史の授業で昔の農民が国に年貢を収める。なんて授業を思い出した。